hiroのブログ

来し方行く末を記します。

『中・高校教師用ニュースマガジン』(中高MM)☆第4355号☆


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 『中・高校教師用ニュースマガジン』(中高MM)☆第4355号☆
                  2019年1月3日:木日発行
   編集・発行 梶原末廣      sukaji@po.synapse1ne.jp
  http://www.synapse.ne.jp/~kanoyu/sukaji/index.html
http://www.synapse.ne.jp/~kanoyu/kyoushi/index.html
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■「映画の中の先生たち」(44)木原ひろしげ(福岡県)  
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【連載】


■「映画の中の先生たち」(44)

   木原ひろしげ(福岡県)


◆『裸足の季節』の「ディレッキ先生」

2015年のフランス・ドイツ・トルコ合作映画。原題『Mustang』。トルコの小さ
な町で親を失った5姉妹が、親戚に預けられて、古い慣習に散々苦しめられ激
しく抵抗する様を描いている。

映画は末っ子ラーレが、女性教師と泣きながら別れる場面から始まる。先生は、
この田舎町を離れて大都会・イスタンブールに転勤・移転するのだ。親とも慕
う先生が居なくなったあと、ラーレは叔父の家庭(里親ということか)で、自
由をことごとく封じられ、里親の(それはこの社会では常識であろうと思われ
る)厳格な社会規範の下に教育(姉妹には管理でしかない)される。

教育(と確信している里親)と管理(としか感じられない姉妹)のバトルは凄
惨を極める。今風の「話し合い」で理解されたり展望が開けたりするようなも
のではない。状況は深刻だ。上の4人の姉たちの悲劇を観て、末っ子のラーレ
は遂に脱出(家出、ということになるか)を敢行する。一千キロも離れたイス
タンブールのディレッキ先生宅を探し探しして、やっとのことでドアを叩くこ
とができる。再開した先生夫婦が優しくラーレを迎え入れるところで映画は終
了する。

映画はディレッキ先生との別れで始まり、ディレッキ先生との再会で終わり、
その間の5人姉妹の抵抗物語という単純な構成。誰の目にも、若者たちを封じ
込める社会悪を告発するのがこの映画の主要部分だ。主人公はラーレ。原題
『Mustang』は、「…… スペイン語のmestengoに由来し、迷子になった、あ
るいは主人のいない家畜を意味する。人間に服従しない独立の精神に富んだ性
格で知られ……(Wikipedia)」ている。まさに、「服従しない独立の精神に
富んだ」ラーレだ。先生はストーリー構成上に利用されているだけだ。だが、
教育に関わる者としては、引っかかりがある。

ま、考え方にはいろいろあるから、そして、お国や時代や、制度上のこともあ
るから一律には言えないけど、……、現実の問題として、ディレッキ先生はこ
の家出娘を迎え入れたあと、つまりこの映画ストーリーの先に、どうしたのだ
ろうか。どういうことが出来て、どういうことが出来ないのだろうか。そのこ
とはこの映画のテーマではないけど、先生との再会でハッピーエンド風にまと
められると、様々な誤解を生じそうに思えてならない。

そもそも、学校の先生は「駆け込み寺」(英語ではrefuge、sanctuaryなどが
これに当たるらしい)となり得るのか。西欧の学校事情に詳しい人や実際そこ
で学んだ人or教えた人の話では、ほとんどの学校でスタッフの分業が当たり前
になっていて、いわゆる生徒指導担当者が専任で居て(どうやら、教科担当教
師より地位や給料が高い所もあるらしい)、生徒の駆け込みに対応しているの
だそうだ。社会には多様なrefugeが有るから、学校スタッフはそこと連携する。
(この項、あくまで聞いて知っているだけの話。)

連携のあり方が問題。「それは担当の先生に相談を」とか、「専門の機関を紹
介」などと、いかにも機械的に、内規通りマニュアル通りに事を進めようとす
ると、縦割りの「お役所仕事」、「サラリーマン教師」と批難される。「カウ
ンセリングマインド」というのも毛嫌いされる。駆け込み生徒と共感できた上
で、味方になって(できれば同席して)紹介すればいいのだ。そう、紹介者。
この先生だったら「いいお寺を紹介してくれる」という信頼感。実は、これが
難しい。安易に自分がお寺さんに成りすまさないことだ。

そんなことを言いながら、現役を退いてから十数年。そろそろ、後期高齢者
域に入る。すでに旧世代だから、現役世代や、新世代とはズレを感じることが
多くなった。映画の5姉妹とは逆に、旧世代者の方がどこかに駆け込みたいこ
とがある。やがてこれが固定してしまうのだろうか。駆け込みの元気がある人
はまだいい。その元気もなくなると、小さな世界に閉じこもっているのが、気
は休まり安全というもの。

煽るつもりはないけど、若い世代の駆け込み経験のひとつやふたつ結構ではな
いか。先生たちに必要なのはそういう考え方だ。あるいは自身のそういう経験
だ。ディレッケ先生だって、おそらく、この小さな町から逃げ出して大都会に
転勤・移転したのだ。だから、ラーレはこの先生を追った。予め「共感」関係
ができている。

まさかとは思うが、危うい家出風の悪い芽は早いうちに潰さんかのように自主
退学(何という嫌な学校用語)に追い込んで平和を装っていることはないか。
いや、そういう間違った学校はなかろう。だが、学校には姿を見せない不登校
・引き籠りが心配。若い時にはMustangが当たり前。引き籠りは高齢者が演じ
るからそちらに任せておけばいい。

と、いいながら、自分のこととしては、正直なところ、最後の駆け込み寺を探
しておかないといけない。信頼できる紹介者を訪ねないといけない。この一年
はそういう終活の年になりそうだ。正月早々、明るくない話で失礼。


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◆第89回かごしま朗読Cafe in 珈琲自家焙煎「ぼちぼち」

2019年最初の朗読Cafeは「珈琲自家焙煎 ぼちぼち」で開催します。
オーナーの米森様・本渡様のご厚意に感謝申し上げます。(3年連続)
当日は朗読したい作品をご持参ください。お一人の朗読時間は5分程度で
お願いします。朗読の前か後にご自身で作品や作者(筆者)について1分
程度でご紹介ください。当日は最後にリクエスト朗読作品1編を選びます。
最高得票者は再度朗読お願いします。

日 時:2019年1月27日(日)10:00~11:30 
場 所:「珈琲自家焙煎 ぼちぼち」
   http://cafe-bochibochi.com/
https://www.instagram.com/bochi_bochi_kagoshima/
https://www.facebook.com/pages/%E7%8F%88%E7%90%B2%E8%87%AA%E5%AE
%B6%E7%84%99%E7%85%8E%E3%81%BC%E3%81%A1%E3%81%BC%E3%81%A1
/501009713246763
住 所: 〒890-0033 鹿児島県鹿児島市西別府町2794-80
TEL  :099-802-2229
内 容:朗読作品&リクエスト(朗読作品投票も)
参加者:8名(朗読者)+12名(見学者)=20名
参加費:それぞれお好みのお飲み物ご注文ください。
※朗読される作品はご持参ください。(見学参加もOKですが、参加費の
 飲み物代はご負担ください)
※準備の都合もありますので参加申込みの締め切りを1月26日(土)と
 させていただきます。
※駐車場は専用駐車場をご利用ください。

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■2019年朗読Cafe会場・開催日

 1月27日(日) 「喫茶ぼちぼち」(鹿児島市
 2月10日(日) 「音楽館Rain」(天文館
 3月10日(日) 「喫茶南蛮」(鹿児島市
*3月下旬 「お花見Cafe」(予定)(鹿児島市
 4月14日(日) 「レトロフトチトセ」(天文館
 5月12or19日(日)「カレーテリア沙羅」(新)(松元町)
 6月 2日(日) 「DINIZ CAFE」(天文館
 7月 7日(日) 「風木野陶(ふきのとう)」(日置市
*8月16-17日(土日)第20回霧島プロジェクトin薩摩川内
 8月25日(日) 「妙行寺」(新)(鹿児島市
 9月22日(日) 「KUROZU FARM」(鹿児島市
10月 6日(日) 「すすむ茶屋店」(鹿児島市
*10月下旬 「頴娃町森で遊ぼう、EbiCafe」(予定)
11月 3日(日) 「小さなカフェTAO」(鹿児島市
12月 1日(日) 「DINIZ CAFE」(天文館
    8日(日) 第4回蕎麦打ち体験食事会(鹿児島市
   22日(日)2019望年会(鹿児島市) 

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===編集日記=== 

  皆様に支えられて「日刊・中高MM」第4355号です。

 木原ひろしげさんの「映画の中の先生たち」、お届けします。

 ・『裸足の季節』の「ディレッキ先生」

 ・最後の駆け込み寺を探しておかないといけない。
  信頼できる紹介者を訪ねないといけない。この
  一年はそういう終活の年になりそうだ。

 明るく愉しい年にというのが共通の願いだろうが、現実の問題は押さえ
 ねばなるまいと意識しました。大切なのはバランス(平衡感覚)だと思
 う。基準や標準があって平衡は保てるのだが、数値化は可能だと思うが、
 経験から割り出された平衡感覚なのだと。それにしても「駆け込み寺」
 は意識しながらも生きていきたい。

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       皆様のご意見・ご感想お待ちしています。
       sukaji@po.synapse.ne.jp
       梶原末廣【インターネット編集長】
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「中・高校教師用ニュースマガジン」2000年3月26日創刊
  編集・発行 梶原末廣 sukaji@po.synapse.ne.jp 
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☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆2019年☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆                       

☆★☆2019年☆★

【1月】

04 「島に、生きる。」(93)山下賢太(鹿児島) 
05 「なにかが見える、描こうということ」(16)岡崎あかね(大阪府
06 「幸せをトレーニングする」(7)佐伯 真哉(鹿児島)
07【休刊】
08 「異文化の面白話」(3)大迫 友(アメリカ)
09 「新 教育をみつめて」(65)土橋英光(大阪府
10 「手紙プロジェクト」(6)梶原末廣(鹿児島)
11 「そして明日へ」(4)瀬尾公彦(愛知県)
12 「環境問題について」(216)枝廣淳子(千葉県)
13 「月刊 学び工房eiichi」(56)原口栄一(鹿児島)
14【休刊】
15 「想いは南風に乗せて-あなたの心に」(69)堂園晴彦(鹿児島県)
   「学校英語と実用英語」(17)浜田 雅暢(鹿児島)
   「鈴木敏恵の未来教育インフォメーション」(13)鈴木敏恵  
16 「朗読Cafeネットワーク」(20)梶原末廣(鹿児島) 
17 「なにかが見える、描こうということ」(16)岡崎あかね(大阪府
18 「ドイツ・シュトゥットガルトシュタイナー教育を学ぶ」(21)吉川岳彦(ドイツ)
   「島に、生きる。」(93)山下賢太(鹿児島) 
19 「南薩摩の風」~南薩の田舎暮らし~(36)窪 壮一朗(鹿児島)
20 「総合学習回顧録ー小学生ママと総合学習」(112)名生修子(兵庫県) 
   「子どもたちのわくわくアート」(133) 西尾環(熊本県
21【休刊】
22 「異文化の面白話」(4)大迫 友(アメリカ)
23 「プロジェクト志向でいこう!」(113)若槻徹(島根県)  
   「立ち止まってメモしたことを」(22)北原妙子(熊本県) 
24 「僕らはみんな生きている」(158)杉山武子(鹿児島)
25 「自己物語探究の旅」(13)笹木陽一氏(北海道) 
26 「教育への道~グローカルアカデミー~」(17)岡本尚也(鹿児島県)
 「ヒサシは歩くよ何処までも」(30)大岩根 尚(鹿児島)
27 「旅をする本」(16)丸山 晃氏(鹿児島)
28【休刊】
29 「学びが深まるアクティブラーニング(AL)の授業設計」(34)水野正朗(愛知県)
30 「未来教育霧島プロジェクト」(37)梶原末廣(鹿児島)
31 「環境問題について」(217)枝廣淳子(千葉県)


【2月】

01 「未来教育霧島プロジェクト」(37)梶原末廣(鹿児島) 
02 「朗読Cafeネットワーク」(20)梶原末廣(鹿児島) 
03 「映画の中の先生たち」(45)木原ひろしげ(福岡県) 
04【休刊】
05 「島に、生きる。」(94)山下賢太(鹿児島)
06 「なにかが見える、描こうということ」(17)岡崎あかね(大阪府
07 「幸せをトレーニングする」(8)佐伯 真哉(鹿児島)
08 「異文化の面白話」(5)大迫 友(アメリカ)
09 「新 教育をみつめて」(66)土橋英光(大阪府
10 「手紙プロジェクト」(6)梶原末廣(鹿児島)
11【休刊】
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【休刊中】
   「特別支援教育の在り方」(18)吉田博子(東京都)
   「ファシリテーション・グラフィックをはじめよう」(16) 藤原友和(北海道) 
   「教師のための働き方マネジメント」(2)長瀬拓也(京都府
   「スイスで先生~生物学教師になるまで」(40)ブランド那由多(スイス) 
   「森知子の旅と本」(3)森知子(スペイン)
   「生徒へ送る心のメッセージ~教師のための新しい視点~」(66)
                 桑原規歌(愛知県)
「雑感・相手の立場 」(47) 西澤俊英(滋賀県
   「リフレクションの探求と実践」(13)中島 久樹(東京都)
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【読者アンケート】本日の作品はいかがでしたか? 
 http://clap.mag2.com/driacrisur
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